Tuesday, January 24, 2006

本を枕に遠い夢を見る

「おおきく振りかぶって」を読んで、ひぐちアサにはまって、「ヤサシイワタシ」も「家族のそれから」も買った。

 まんだらけは古本屋のくせに品揃えがものすごい。
 恋人とずっと探してた「地獄戦士魔王」も見つけた。萩尾望都の「パルバラ異界」も買った。「尾玉なみえ短編集」はいまいちだった。

 友達から、たくさん本を貸してもらった。
 あいかわらず、マンガばっかり、本ばっかり読んでる。

 本を読んでいると、「黄色い本」のことを思い出す。
 読書が好きな中学生の女の子が、本の世界を空想して、やがてその世界から去って行く、という話。

 真剣に本を読んだからこそ、本の世界を生きて、今の生活とはまったく違った世界をかいま見る。
 読書は、空想の羽を広げで、世界を超越するのだ。

 この「黄色い本」が好きなのは、本好きならだれでもやっていることを、実際にマンガの世界で表現して見せたこと。

 僕は、僕たちは、黄色い本の中の少女のように、本の世界の登場人物に話しかけ、頼り切り、それゆえにしばし混乱し、現実を見失いもする。本を読み終えて、自分の生活と空想の本の世界に折り合いをつける。現実の世界で生きて行く。しかし、もう一度本を開けば、本の世界を旅することができる。それは、大きな力になる。いつでも新しい生き方を僕たちにもたらしてくれる。

 僕は、そんなに本が好きで好きで。
 一人で本の世界に浸ってるのがもったいないから、みんなと共有したいなあと思っている。
 そういう態度は、きっと本好きな人からしたら欲張りで、本が嫌いな人からしたら鬱陶しいんだろうな、と思う。
 そんな鬱陶しいオタクなので、僕の滑舌が悪くて、聞き取りづらいこととか、考えながらじゃないと喋れないことも、ある意味調子に乗る自分をセーブできているのかもしれない。
 その代わり、ネットで文字でやりとりするのは、僕の肌にあった。このネットの平べったい世界では、自分の言葉を相手に合わせるより、自分の言葉が通じる相手を捜す方が、何倍もやりやすい。 
 でも、それもどこかで、違うな、と思って来ている。あらかじめ限られた知識の中でやるのは、すっと簡単なんだ。
 
 僕が本当にやりたいことは、自分の言葉をわかってくれる人を捜すのではなく、自分の言葉を本当に必要としてくれている人のために語り、その人が本当に語るべき物語を聞きたい。この声で語って、この手で綴り、この耳で聞きたいと思う。

 あなたの物語を。遠い世界の果ての物語を。星の記憶を。

 吟遊詩人とまではいかないが、鬱陶しいオタクでも、いつかは、話し上手聞き上手のじいさんくらいにはなれるだろうか。