Sunday, April 02, 2006

メランコリー

メランコリー


木の根の下に隠れるがよい
だれにも おまえはもういらない
独りで生きるのが おまえの運命
人恋しさに 胸を引き裂かれようと
いつかは眠りが癒してくれる
こころ開いた女よ。


だれの母親でもなければ こどもでもない
おまえの住まいには かくまう壁もない
いっそ甘んじよう 異邦者であることに
「わたしたち」とは いえないことに。


こころ開いた女よ
いまは心臓の弁をとじ 動機をしずめよう
鼓動が止まろうと打とうと 眠り飛ばせ
食べるものなら たっぷりあるし
やさしい木々が おまえを憩わせてもくれよう
それに海はたいてい 青いじゃないか。


ことば 言葉で慰めるのが おまえのしごと
おまえのように 道にゆきくれた仲間を
小鳥をたたえ
降る雪の歌を うたいあげて
みなの傷口を いたわってやるがよい
こころやさしい女よ。


メイ・サートン  「一日一日が旅だから」より

0 Comments:

Post a Comment

<< Home